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2011-02-21

断絶への航海(VOYAGE FROM YESTERYEAR)



去年亡くなった、ジェイムズ・P・ホーガンの作。

“ホーガン=東京創元社”みたいなイメージが脳内で出来ており、よもやハヤカワからも出てるとは思わなかったのだが、本屋に行ったら平置きされていたので読んでみた。


そう遠くない未来、最も近い恒星系(それでも約四光年)であるアルファ・ケンタウリへ、居住可能な惑星を探索にコンピュータ船(クヮン・イン)を送り出した人類は、同時に自らの遺伝情報をもそれに託していた。

果たして数十年後、コンピュータはアルファ・ケンタウリに居住可能な惑星(ケイロン)を発見。ただちに地球へ連絡をとるとともに、託された遺伝情報を利用し、人類の再生を始めた。

その報を受けた人類は、大型移民船“メイフラワー二世”に数万人規模を乗せ、アルファ・ケンタウリへ向かった。

二十年後、無事にケイロンにたどり着いた人類は、先にコンピュータの手によって再生されていたケイロン生まれの人間たちと出会う……。


てな感じで、何も争いのないところで再スタートを切った新たな人類であるケイロン人と、カオス渦巻く地球から来た旧人類との出会いを描いた物語。

おそらく、ケイロン人社会というものが、ホーガンの理想郷なんだろうと感じた。

科学技術によって、常識であるとされているものがぶち壊されていく感覚が楽しめそうならお薦め。


原題が、「〜FROM」なのに対し、放題は「〜へ」なのも面白い。

原題は、未だに醜い争いを続ける地球を捨て去り新たな旅路へ向かう姿を、邦題は、醜い争いの連鎖を断ち切るべく新天地へ向かう姿を表している。

どこに視点を置くかの違いではあるが、こういう訳し方は好きだ。


しかし、これ、ホーガンの作品としてはだいぶ初期なのよね。

揺籃の星、黎明の星でも似たようなことをしていたが、これが原点なのだな('ω`)

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