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2008-10-23

天空の遺産(CETAGANDA)



名誉のかけら』、『バラヤー内乱』と続いてきたマイルズ不在の状況(いやまあ、バラヤー内乱時には居るんだけど)から、一転。単独で大活躍のお話。

 

原題の『セタガンダ』といえば、バラヤーの仇敵であり、その他近隣の植民惑星にとっても気の許せない、拡大主義を持つ帝国。

そこの皇后が逝去したので、国葬に参列するために、マイルズがセタガンダに派遣されたのが、事の始まり。

ちなみにこの時点では、マイルズもネイスミスも、セタガンダ帝国と敵対していない。

今までのシリーズ中では、セタガンダ帝国の内部が描かれることは殆どなく、フェイスペインティングをした獰猛なゲム貴族や、他国の領宙内に侵攻してくる艦隊等しか明らかになっていなかったのだが、このお話で、セタガンダ帝国を支配する中枢が明らかになる……。

 

訳者あとがきにもあるように、セタガンダ帝国は、日本の平安朝を下敷きにしており、遺伝子操作や他のSF的ギミックがあるにも関わらず、すんなり入ってくる。

途中で気づかなくても、読み終えて振り返ってみると、“なるほどね”と思えることが多い。

 

このお話には、派手な艦隊戦もないし、デンダリィ傭兵隊も出てこないのだが、見えない敵と争いつつ、事を進めていく頭脳戦的な部分が多いので、それもまた楽しかった。

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